国内には宗教の異なる寺院、神社、教会などが各地に点在していても諸外国と異なり宗教に対する寛容さが共通の国民感情になっているといわれています。その表れの一つが葬儀の後、喪に服する1年の期間だといわれています。
どの方式で行っても親族などの遺族は故人が亡くなると1年間、亡くなった人を弔う気持ちを持ち続けて静かな生活を送ることが習わしになっていました。ところが、近年の高度情報化社会到来により毎日、世界中の情報が流れ込んでくる時代となりのんびりしていられなくなってきたようです。
情報の方から押し掛けてくると仕事や日常生活に変化したり、新たな対応を求められるのでじっとしていられなくなってきました。こうした情報に疎いままだと故人を弔う気持ちがあっても遺族として時代の変化に取り残されかねないとの焦りなどが高まっていくわけです。
仕事や日常生活でこうした現実社会の動きから逃れることができないため、最近は葬儀が終わると忌中だけ静かに暮らすくらいが精一杯のようです。忌中の間は故人があの世へ旅立っていく期間と言い伝えられていて、仏式で49日間、神式で50日間とされています。
この期間にはお祝い事やお祭り騒ぎなどへの参加を避けることがマナーと考えられているわけです。葬儀終了後、この程度の期間では故人を失った悲しみが癒えないと考えれば昔からの習わし通りに長く喪に服する人もいます。従って、目まぐるしい社会に生活する現代人は忌中と喪中を夫々の立場で適当に利用しているということでしょう。